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世界中の人々に、不動産を通じて、経済的価値を提供していきたい

―会社が成長していくなかで、IPOに対する考え方を聞かせてください。

 IPOについては、少なくともいまは必要ないと思っています。けれども私自身が前職でIPOに携わった経験から、企業が持続的な成長を遂げるには、会計や労務面での内部統制が重要であることはよく理解しています。そのため、当社では従来の不動産ベンチャーと比べてかなり厳しい内部管理体制を構築しています。今後は内部監査などを入れていくことになりますし、その意味でも当社では、IPOは「目指す」ものではなく「いつでもできる」ものとして位置付けています。
 IPOは、経営者の野心的な感情を満足させる目的や、承認欲求を満たすために行う、といった風潮がありますね。私はそうした感情には興味がなく、あくまでも経営上の判断としてIPOを捉えています。上場企業は厳しい監視下に置かれるのは仕方のないことで、ビジネスを進めるうえで、それがときには手かせ足かせになることもあります。だからこそ、いまはまだ必要ない。いま社内で進めている内部統制は、IPOが必要だと思ったときに「いつでもできる」という状況をつくることであり、そのための「成長痛」と捉えていますね。

―今後、会社をどのように成長させますか。

 私たちは、たとえば本社が東京にある必要はないと思っています。シンガポールでもニューヨークでもロンドンでもよくて、支社、子会社として東京に拠点があってもいいんです。だから、仮に上場するにしても東京にこだわらず、海外で上場しても良いと思っています。
 そして、5年後や10年後に圧倒的な成長曲線を描くことも、現実味を帯びているといった感覚です。それを成し遂げられる社員がいることが、私自身の誇りです。現在、当社の役員や中心メンバーは、20代後半から30代前半で、多国籍にわたります。驚くほどみんな有能で、会社をどんどん成長させてくれている。そんな彼ら・彼女らが今後、さらなる知見やノウハウを蓄積し、10年後には40歳前後のまさに「脂が乗った」時期。そのときには、世界で勝負できる会社になっているはず。そうした期待とともに、自分の会社がどこまで成長していけるか楽しみにしています。

―今後のビジョンを教えてください。

 今後も不動産事業に軸足を置き、世界中の人々に優れた経済的価値を提供していくことは言うまでもありません。ほかの会社にはできない、きめ細かなサービスとソリューションを揃えていることを強みに、アジアでクロスボーダーといえば、「ポスト・リンテルがNo.1だね」と言ってもらえる存在を目指します。
 つまりは、みんなが心のなかで認めるNo.1という立ち位置。真の「アジアNo.1の不動産ソリューションカンパニー」へと成長していくことが、これからも変わらぬビジョンであり、目標ですね。

プロフィール

1978年、東京都生まれ。中学を卒業後に単身で渡米。日本に帰国後、さまざまな仕事を経て、不動産会社の立ち上げに参画。2007年に新興の不動産会社に入社し、マネージャー、事業部部長などを歴任後、常務取締役に就任。海外不動産事業に注力するなど業容を拡大し、国内、海外すべての販売、運用、管理部門の統括責任者として活躍後、設立10年のスピードで同社をジャスダック上場へと導いた。2017年に独立してポスト・リンテル株式会社を設立、代表取締役に就任した。