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品質・生産性向上を導くための好循環を企業に生み出す

―田淵代表がQMインターナショナルを起業した経緯を教えてください。

 私は国内の大手総合電機メーカーの通信機の品質保証部門で、製品品質改善、試験の自動化やQMS導入などの業務に約15年間従事していました。その後、同社の自動車部品製造を行うドイツ法人の立ち上げで現地に赴任。5年間、経理マネージャーとして事業計画の作成や予算管理などを手がけ、2009年に帰国しました。

 20年強の会社員生活の中で、リーマンショックなどの影響もあり、二度の大リストラが会社を襲いました。その経験により、自分の想いの中で「企業は潰れなくても、私がその場にいるとは限らない。特に50歳以上の管理職は会社にとってお荷物」という考えが強くなっていったのです。そして、自然と起業を考えるようになりました。

 自分自身、製造、経理、管理職の実務経験にくわえ、企業活動に関連する法律についてもある程度わかっていたことから、中小企業診断士の資格を取ろうと考えました。取得には2年かかりましたが、それを契機に個人事業主として独立し、事業を開始したのです。中小企業診断士の資格と現場での実務経験が評価され、ODAによるカンボジアでの5S・KAIZEN研修を行う業務を受注することができました。

 ODAによる開発援助では実績が重要となるため、カンボジア案件受注後は続けてモンゴル、エチオピア、カメルーン、ナイジェリア、タンザニア、バングラデシュでの案件を次々と受注することができたのです。それらの業務に携わりながら、海外での品質・生産性向上の需要の大きさに気づきました。

 また、アフリカでは日本式KAIZENが現在ちょっとしたブームであり、年間の10ヵ月をアフリカで過ごす生活が続いています。現在はODAの案件を中心にしながらも、海外の民間企業からの直接受注にも手を広げています。

―これまで大切にしてきた理念について教えてください。

 「お客さまのためになる提案、成果につながる提案を行う」ということに尽きます。私たちコンサルタントは、お客さまの役に立ってこそ、存在に意味があります。お役に立つというのは、目に見える、数字に表れる形で成果を出すということ。安くない報酬を払っていただくのですから、払っていただいたもの以上の成果を出さなければならないと思っています。

 最初に無料の企業診断を行った後、改善の目標値を提示し、6ヵ月を一つのスパンとして見ながら成果に導いていきます。数字で成果が見えるようになると、社員のモチベーションもおのずとあがります。成果が動機づけにつながり、さらに新たな改善が促されます。成果につながる提案にこだわることで、企業の品質・生産性向上に向けての好循環が生まれるわけです。

―今後のビジョンを教えてください。

 今後は人を雇って企業として受注し、幅広く業務を遂行できる体制を構築していきたいですね。そのためには、できるだけ多くの潜在顧客にKAIZEN(品質・生産性の向上)について知ってもらうとともに、当社の知名度をあげていく必要があります。

 当社のサービスをお客さまに導入いただくことで、必ずメリットを提供できると自負しています。地道な日々の活動を通じて、今後も日本式KAIZENの普及と知名度アップに取り組んでいきます。

プロフィール

1986年に大手総合電機メーカー(株式会社日立製作所)に入社し、通信機の品質保証部門にて、製造品質改善、試験の自動化、QMS導入・運営等に約15年間従事。その後、自動車部品製造を行うドイツ現地法人の立ち上げから5年間経理マネージャーとして現地に赴任、事業計画作成、予実算管理等に携わる。2010年に医療機器製造販売会社に転職し、医療機器製造業の責任技術者としてQMSの再構築、品質改善、生産性向上等を実施。2013年に中小企業診断士として開業した後、2015年にQMインターナショナル株式会社を設立して代表取締役社長に就任。