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アセンティア・ホールディングス

カフェ「サンマルク」、中古車「ガリバー」、焼き肉「牛角」、コーヒー「タリーズ」。土屋氏が過去に支援してきたFC本部はどれも大成功を収めてきた。これ以外にも数多くの有名FC本部の支援を手掛け、日本人が誰もが知る有名ブランドにまで押し上げてきた。その土屋氏がいま力を入れているのが日本のFC本部の海外進出支援だ。日本のFCが世界に展開し、権利収入を日本に還元できれば、日本経済の復活の切り札ともなりえる。今回はFCのプロフェッショナルである土屋氏にASEAN進出について聞いてみた。(取材内容は2013年9月時点のもの)


【FC本部の海外進出を支援する】

―まず御社の事業内容を教えてください。

 いくつか事業を手掛けていますが、主な事業としてはフランチャイズ本部(以下、FC本部)さんのサポートですね。特に日本のFC本部さんの海外進出支援の案件が最近は多いですね。ちなみに海外の中でもASEANなどのアジア新興国への進出が中心です。

―どんな業種のFCが多いのですか?

 私が今まで飲食のFC本部さんの支援を多くしてきた関係で、お話が来るのは飲食業が多いですね。たとえば、「サンマルク」さんの海外進出支援。ちょうど2012年12月にシンガポール初出店しました。このプロジェクトは約1年半かかりましたね。

 他にも、讃岐うどん「たも屋」さんのシンガポール進出の支援や最強豚骨らーめん「ばり馬」さんの支援などもしています。また飲食業以外でも、紳士服のコナカ」さんの海外進出支援もしています。

【シンガポールを戦略的に活用せよ】

―特にシンガポールへの進出が多いのですね。それはなぜですか?

 まずシンガポールの店舗はASEANの中でアンテナショップの位置づけとなります。戦略的にASEANに展開しようと考えたら、まずシンガポールに出店してテストマーケティングをするわけです。シンガポールは多国籍国家です。いろんな文化と宗教を持った人が住んでいます。ですからASEAN進出において良いテストマーケティングとなります。

 地理的にもシンガポールはASEANのど真ん中に位置しています。インドネシアやマレーシア、フィリピンなどのアジア新興国の富裕層が週末などを利用して、シンガポールに気軽に旅行に来ます。その富裕層の子弟もシンガポールの学校に高校から進学して住んでいることも多い。だから、シンガポールに出店していると、新興国の富裕層から自国への出店依頼などが普通に来たりするんです。インドネシアの財閥系の富裕層から「このブランドをぜひジャカルタでもやりたい」というような依頼が来たりします。

 また、シンガポール政府は外資導入に積極的で、飲食業や小売業の外資規制もなく、外資系企業が会社を設立するのも簡単ですし、税金も安いので税務メリットもあります。

―日本の飲食業や小売業がASEANで多店舗展開を考えるとき、シンガポールを戦略的に活用できるわけですね。

 そうですね。ある程度の資本力がある会社なら、私はまずシンガポールに戦略的に出店することを勧めています。しかし、まず1店舗だけアジアに出店したいという会社さんならお勧めしません。なぜなら、シンガポールは家賃代などのコストが新興国に比べてすごく高いですからね。1店舗だけなら、日本や直接アジア新興国に出店するのがいいと思います。