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数字は正直。変化の理由を探れ

数字は正直。変化の理由を探れ

―松本さんがとくに注意深くチェックしている項目はなんですか。

各指標の成長をみています。利益の成長、売上の成長、EPS(1株あたり純利益)の成長。あとは工場稼働率、製造原価率、マーケットシェア。それくらいですよ。指標が多すぎると知恵が出てきません。

数字は正直です。急に増えたり減ったりする現象には、必ず理由がある。それはなんなのか。自分で仮説を立てて、現場に行って検証する。仮説が正しければ、それにそってアクションを起こす。これも単純なことです。

―数字を分析して、どのようなことがわかりましたか。

たとえば、地域別・商品別の売上を分析するなかで“売れる理由”がわかってきました。まず当社の商品でいちばん大事なのは「おいしさ」。しかし、これは必要条件にすぎません。十分条件は「価格」です。くわえて、店舗に商品を置いてもらう「営業力」がないと、なかなか売れません。

以前は「モノがよければ、黙っていても売れる」という考えが社内にありました。しかし、これはおごりでしょう。いい商品をつくる、買いやすい値段にする、それをしっかり売る。当たり前のことですが、この基本を徹底することが重要です。

―御社は2011年3月に株式を上場しましたが、グループビジョンにはステークホルダーの最後に株主が記されています。なぜ株主第一主義ではないのですか。

上場企業として、最終的には株主への利益還元をめざしています。でも、そのためには最初から株主利益を追い求めたらうまくいかないんですよ。

その理由は、短期的視点におちいって中長期の戦略を実行しづらくなるから。もうひとつは、不祥事を起こす可能性が高まるからです。株主のために今期の利益向上だけをめざしていると、いつか不祥事を隠したり、粉飾決算をしかねません。

あとは結果ですよ。「従業員が大事、コミュニティが大事」なんて理想を語っても、結果が出なかったら経営者はクビ。それは株主が決めることです。

―カルビーグループはアジア地域を中心に、積極的な海外展開を進めています。経営資源の乏しい中小・ベンチャー企業は、どのようにグローバル化に対応すればいいのでしょう。

国内の成功体験を海外に持ち出しても、うまくいきません。成功するために欠かせない要素が3つあります。

1つめは、コスト。「おいしいから売れる」という理屈は通りません。その国でお客さんが払ってくれる値段を見つけて、コストを適正化してください。

2つめは、スピード。たとえば、もともと中国には「スナックを食べる」という習慣がありませんでした。ところが、ここ数年ものすごい勢いで市場が成長している。海外メーカーの対応も速く、こういったスピードについていかなければ成功は難しいでしょう。

3つめは、現地化。仕入れや商品開発はもちろん、経営者や従業員も現地の人材がいい。本社はサポートに徹します。

―なぜ日本人よりも現地の人材がいいのですか。

どの国の人材も、本来もっている能力は同じだと思いますよ。ただ2014年の時点では、少し日本人が劣勢です。あまり勉強しない、一所懸命に働かない、人件費が高い。すると、現地の人材を使うほうがうまくいく可能性が高いわけです。

マネジメント側を日本人で固めるやり方は、とっくの昔に終わりました。中小・ベンチャー企業でも、現地人材をトップにすべきです。