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赤字だった「Ameba」を、わずか2年で黒字化

―ほかに成功の要因はありますか。

 トップである私自身が率先垂範したからですね。会社を変えるということは、これまでの価値観を変えるということ。企業の価値観をつくるのは、経営者にほかなりません。ですから、人まかせにしてはいけないと気づいたのです。『Ameba』を軸としたメディア事業への転換を本気でやると決めたときは、当時の責任者を更迭し、私が『Ameba』の総合プロデューサーとしてトップに立ちました。まずは、いかに本気であるかを態度で示したのです。

 そして、「背景はもっと明るい色のほうがいい」「ここの線はもう少し太く」などサービスの細かいデザインひとつまでこだわって指示を出した。それで「このやり方が正しい」という認識を社員に浸透させたのです。

―自ら具体的にやってみせることで社員も本気になるのですね。

 ええ。そうした取り組みが実を結び、2007年に総合プロデューサーとして就任後、赤字続きだったAmeba事業を2年で黒字化することができました。一度実績を出せば、社員はついてきてくれます。この成功体験があったので、パソコン・フィーチャーフォンからスマートフォン分野にシフトしたときは、いくつもの困難やリスクを乗り越えつつも比較的スムーズに社員を導くことができました。

―ベンチャー企業の経営者やこれから起業をめざす若者へアドバイスをお願いします。

 自分の信念を貫いてください。経営で難しいのは、実績がないなかで新しいことを始めようとすること。プロジェクトの規模が大きいほど、結果が出るには時間がかかります。また、結果が出るまでは投資期間なので、業績が悪くなってもひたすら耐えるしかないのです。

 サッカーでたとえるなら、新しいフォーメーションを試して負け続けている状態。これが続くと、選手やスタッフが不安になり、舵取りをするのが難しくなります。外部から「このままじゃダメだ」と批判されると、ますますネガティブになる。監督解任のピンチです。

―そうなった場合、どうすればいいでしょう。

 状況を好転させるには、試合で勝つしかありません。そうすれば、みんな信じてついてきてくれます。

 私が『Ameba』のプロデューサーになったとき、経験があったわけではありませんでした。しかし「2年で黒字化できなかったら社長を辞める」と公言し、覚悟を決めた。スマートフォン事業にシフトしたときは、100億円の利益を出す事業をなげうって新事業にかけた。「この道が正しいんだ」と信念を貫いたからこそ、やりぬくことができたのです。

 新しいことを始めるには、不安や迷いが生じます。しかし、自分を信じてやりきるのが経営者の仕事であり使命でもある。少しずつでも成果を出し、実績を積み上げてください。

プロフィール

藤田 晋(ふじた すすむ)
1973年、福井県生まれ。1997年に青山学院大学経営学部を卒業後、株式会社インテリジェンスに入社し、営業を担当。1998年に株式会社サイバーエージェントを設立し、代表取締役社長に就任。2000年3月に、当時の史上最年少(26歳)で東証マザーズに上場を果たす。著書に『渋谷ではたらく社長の告白』『起業家』(どちらも幻冬舎)などがある。

企業情報

設立 1998年3月
資本金 7,203百万円(2014年9月末現在)
URL https://www.cyberagent.co.jp/