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Fenox Venture Capital

―日本の課題はなんでしょうか。

研究・開発にかける費用が乏しいということでしょうね。しかし、方策はあります。たとえば、世界的なテクノロジー企業であるIBMも、新規事業の研究にはそれほどお金をかけていません。ただ彼らは新しい企業や多くのベンチャー企業を買収しながら元気になっているんです。そこが日本の企業とは決定的に違います。

驚くかもしれませんが、2010年からの5年間におけるIBMの合併吸収のための予算は2兆円です。この予算をもって会社を買っていくから、古い会社であってもいまだに世界1位のテクノロジーを誇ることができるのです。

日本企業も、どんどん新しいものを入れ自社の技術にしていかなければいけません。だからこそ最初に、当社の投資家として日本企業に入ってもらいました。当社を通じて世界の企業を見てほしいと思っているのです。

―日本企業を積極的に支援したいということですね。

はい。大手だけでなく、若いアントレプレナーたちを元気にし、次のソニーや日立をつくるために指導していきたいと思っています。

そのために、シリコンバレーのノウハウや最近の事例を満載した『スタートアップ・バイブル』を上梓しました。ちなみにこの本の印税は、東北のアントレプレナーや東北のスタートアップ企業に寄附されています。

日本企業にたりないのはマーケの力とコネクションの力

―では、日本のベンチャー企業が世界と戦っていくためにはどうすればいいでしょうか。

日本はテクノロジーとクリエイティブの部分では、じつはアメリカとそう変わらないんですよ。そこで日本になにがたりないのかというと、やはりマーケティングやコネクションの力なんですね。

いまのVCは資金だけを提供するのではなく、具体的なアドバイスやコネクションを提供します。日本の大手企業は中小・ベンチャー企業の買収例が少ないのですが、それはコネクションに乏しいからです。その点、パートナーシップという面でみると、シリコンバレーにくれば有力なグローバルパートナーシップをもてる可能性があります。マイクロソフトやIBM、Facebookとコネクションをもつことだって可能なわけです。

エグジットのサイクルを回すことで社会が活性化する

―日本のベンチャー企業が育っていくにはどのような土壌が必要でしょう。

ヒントはやはりシリコンバレーにあります。たとえばいま、シリコンバレーでスタートアップが生まれることは簡単なんです。その理由は4つあります。1つ目は、同様の企業が豊富にあることでお互いに影響されるからです。つまり隣に刺激されて、自分も起業しようと思う若者が増えるのです。

2つ目の理由は、トップのインキュベーターがいることです。育成のためのメンターには、ザッカーバーグやYahoo CEOのマリッサ・メイヤーなどがいて、そのクオリティの高さは説明するまでもないでしょう。

3つ目は投資家の多さです。アメリカにはベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家などがたくさんいて、起業や成長の後押しをしてくれます。そして最後にいえるのはエグジットの機会が豊富であること。つまり、株式売却や買収が盛んに行われることです。

アメリカの企業はスタートアップが生まれているときに最後の道が見えるといいます。容易にエグジットして、また新たな企業をつくる。そのサイクルがぐるぐる回っていることが起業活性化の一因といえるでしょう。

日本のベンチャー企業が大きくなるためには、国内の企業を積極的に買収していくことを考えていくべきです。そうすると国内でサイクルがまわるようになり、日本の企業社会に大きなダイナミズムを生むことになると思います。