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【インタビュー後編】 やるからには、NO.1・オンリー1

【インタビュー後編】 やるからには、NO.1・オンリー1

―堀場さんは、幼い頃から将来の進むべき道というか、好きなことが固まっていたわけですよね。最近の若い人は、自分が将来何をやっていいのか分からないという人が多いんですが、それについてはどう思いますか。

 それはホントにかわいそうです。これは一個人の問題にとどまらず、日本の教育と社会全体が抱える問題でもあります。人間というのは、一人ひとり何か得意なことを持っているじゃないですか。自分が何に向いていて、何に向いていないのか。それを見極めることが必要だと思います。

―特に若いうちは、興味が漠然としていて、見極めが難しいと思うのですが、何か見極めの秘訣のようなものはありますか。

 一言でいうと、「イヤならやめろ!」ということですね。イヤなものはやめて、好きなことをトコトンやってみたらいい。そうすれば、「自分の人生は、これでいこう!」っていうものが見えてくると思います。

 だけど、そこで注意してもらいたいのが、簡単にイヤと言わないこと。心の底からイヤと言えるほど、本当にトコトンそれをやったのか。世の中には食わず嫌いも蔓延しています。本物だけを見極めていくことが大事です。

―具体的な質問なんですが、最近の学生、特に就職活動中の学生に対しては、どのように思いますか。

 就職活動にしても、前の質問と答えは同じです。仕事というのは、自分の人生において、非常に重要な位置を占めます。しかし最近の学生を見ていると、それだけの重大事を簡単に決めているように見えます。どれだけのエネルギーを使って決断しているのかと疑問に思うことがある。自分の持っている力を1%も出していないんじゃないかと思う人さえいます。もっと人生を大切にするという気持ちを持つべきです。

―立ち上げた事業を軌道に乗せるには、どうしたら良いのでしょうか。

 ベンチャー企業というのはお金がない。もちろんブランドもない。そうなれば、もう最後は人しかありません。どれだけ優秀な人材を集められるか。そこにかかってくると思います。

―堀場さんの場合は、どうやって集められたのですか。

 僕の場合は、京都大学を卒業しているし、会社も京都にありますから、京大生を騙すわけですよ(笑)。騙すというのは、冗談ですが、要はベンチャーの魅力を、最大限に学生に伝えたということ。

 確かに大企業は安定しています。しかし大企業の仕事よりも、ベンチャー企業の仕事の方が断然おもしろい。また現在では、終身雇用制や年功序列賃金制という日本経済の神話が崩壊しつつある。だから昔よりも、ベンチャー企業に就職するという選択肢が、もっと増えてもいいと思います。しかし、いちばん重要なのは、そのベンチャー企業が、他の企業にはない魅力を持っているかどうかということになりますが。

―最近、IT分野での起業が目立ちますが、それについてはどう思われますか。

 結構だと思いますよ。ただ一つ問題なのは、それが持続性を持つかということですね。ITというのは、ひと山当てれば大きいですから、持続性がなくなりがちなんですよ。

 僕は事業というのは花火大会みたいなものだと思っています。どんなに大きく綺麗な花火を打ち上げたとしても、次の花火を打ち上げるのが遅すぎると、お客さんはブーイングです。だから、持続した事業をいかに軌道に乗せるか。そこが大事なんです。やっぱり次から次へと大きく綺麗な花火が打ちあがる方がいいですよね(笑)。

―堀場さんが、いま大学生に戻れるとしたら何をやりたいですか。

 今の大学は宝の山です。大学の中に埋没している知識や技術はたくさんある。それをどのようにしたら実用化できるか。それが僕の一番の関心事です。

 なんといっても日本は技術立国です。大学の潜在能力が社会に還元されれば、日本は今の数倍は良くなると思います。だから、僕が大学生に戻れるとしたら、そういった大学と社会の橋渡し的なことをやってみたいですね。

―最後に、これからベンチャーを興したいと思っている若者にメッセージを下さい。

 ベンチャーを興す条件としては、その仕事が好きで好きでたまらないということ。寝ても覚めても私はこれが無くなれば死んでしまうというくらい好きなことでなかったら、たぶん失敗する。お金儲けは、二の次。大事なのは、三度の飯も忘れるくらい没頭できるものを探すことです。

 また技術系ベンチャーに限って言うと、ずっと思考し続けることです。スケールを追求するよりも、どんなに狭い専門分野でもいいから、その分野で一番になること。これが非常に大事だと思う。小さくてもいいから、独自性にこだわることです。長いものに巻かれてはダメです。みなさんも頑張ってください。応援してますよ。

プロフィール

堀場 雅夫(ほりば まさお)
1924年京都市生まれ。45年、京都大学理学部在学中に堀場無線研究所を創業。国内初のガラス電極式pHメーターの開発に成功し、53年、堀場製作所を設立する。以後、同社は分析機器の総合メーカーとして、つねに技術開発で業界をリードしている。78年に、会長就任。現在、日本新事業支援機関協議会代表幹事、創業・ベンチャー国民フォーラム幹事などを務める。

企業情報

設立 1953年1月(創業:1945年10月)
資本金 120億11百万円 *2013年12月31日現在
従業員数 5,787名 *2013年12月31日現在
URL http://www.horiba.com/jp/