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【カンボジアの現地の人と同じ目線で対等に向き合う】

【カンボジアの現地の人と同じ目線で対等に向き合う】

―カンボジアで日系企業が成功するポイントはなんですか?

 カンボジア国内のマーケットを見て進出している企業に関して言えば、カンボジア人スタッフをうまくマネジメントして、カンボジア人の顧客向けに商品・サービスの品質や値付けなども含めたローカライズを上手くしている企業です。例えばカンボジアに住む日本人向けだけだと、現状どうしてもマーケットが小さく、大きな事業展開がまだ難しい段階です。難しくても、カンボジア人向けのローカライズにチャレンジするべきだと私は思います。

―カンボジアのマネジメントは日本のマネジメントとどんな違いがありますか?

 カンボジアの方は素晴らしい人が多いです。性格としては、控えめでおとなしく自己主張をしないけど、実はプライドは高い人が多い。なので、ほめるときはみんなの前でほめます。一方、叱るときは1対1で叱ることを意識していますね。

 外資企業の場合、カンボジア人を安い労働力として捉えて進出してくる会社が多いですが、そういう態度だと言葉の節々からカンボジア人に見透かされてしまいます。カンボジア人は敏感に感じ取りますから。「この経営者はカンボジア人を馬鹿にしている」と感じるんです。しかし、カンボジアの方は直接不満は言ってきません。その代りに、不満を溜め込み、そのせいで生産性が著しく落ちたり、組織へのロイヤリティが落ちるんです。

 ですから、どんな時もカンボジアの方と対等な目線で話をすることを心がけるべきだと思います。例えば、「僕たちは外国人なのでカンボジアのことはわからないからカンボジアのことについて君たちから学びたい。その代り、この技術に関しては自分ちの方がよく知っているから任せてほしい」といったスタンスです。そうすると、カンボジアの方はものすごく頑張ってくれますね。

 また日本人にくらべてカンボジアの方は組織に所属するという意識は低いです。嫌なことがあったらすぐ辞めるとか、友人が辞めるから一緒に辞めるといったこともあります。なので、長く働いてもらうための従業員ケアには特に気を使いますね。以前に、ある優秀な人材を集めて組織を作っていた会社がありました。ある時その人材が辞めるといったら、従業員の大半が辞めてしまったという事例もありました。ちなみに、私は前職で培ったコンサルティングのノウハウなどを小出しにして教えることで、この会社にいると勉強になりそうだ、新しいチャレンジができるという期待感をカンボジアの方に持ってもらってモチベーションを維持してもらうようにしています。他には従業員向けに誕生日会なども定期的にやっていますね。サプライズ・バースデイ・ケーキは意外と効果ありますよ(笑)。