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【インタビュー中編】 ひと真似はするな!時代の一歩先を読め

【インタビュー中編】 ひと真似はするな!時代の一歩先を読め

―起業の秘訣を教えてください。

まず、ひと真似をしないこと。人の真似をせずに、時代の一歩先を読む。また細心に考えて、動く時は大胆に動く。

―時代の先を読むにはどうしたらいいんですか。

自分の中に鋭敏なアンテナを持つことが必要です。興味のある分野を絞って、常に時代の変化をキャッチできるようにスイッチを入れておく。そうすると同じものを見ても、心の窓が開いているから、ほかの人に見えないものが自分に見えてくる。自分がこれから挑戦する分野を絞って、鋭敏なアンテナを立てれば、どんな場所に行っても、必要なヒントが得られると思います。ビジネスのヒントはどこにでも隠されています。

写真は復元された当時の研究小屋

―チキンラーメンのヒントはどこで得たんですか。

直接的なヒントがあったわけではありませんが、ずっと印象に残っている光景があったんです。戦後しばらくして、大阪の梅田駅の裏手に行った時のことです。屋台が立ち並んでいるなか、ひときわ長い行列が目に付きました。ラーメン屋台の行列でした。やせこけた人たちが寒空の下、粗末な服を着て震えながら順番を待っていたんです。「一杯のラーメンのために、人々はこんなにも努力するのか」。この光景はいまでも非常に目に焼きついています。のちに自分がチキンラーメンを発明する重要なヒントになりました。

発明のヒントは、ほかの人から見れば、とてもつまらないきっかけであることが多いです。このラーメン屋台の行列も、漠然と見過ごせば、「ごくろうさんなことだ」で終わってしまう。でも何事にも興味を持って観察すれば、この行列の中に庶民の強烈な思いが隠されているのを知り、大きな需要が暗示されていることに気づくはずです。

私はいまでも少しでも疑問がわけば、「なぜ」「どうして」と原因を突き詰めます。出張先の駅や空港ターミナルの売店、展示会、あらゆるところで聞きまくる。根掘り葉掘り聞きまくって、いたるところに新しい発想の源を探し出すんです。

―徹底した現場主義なんですね。

そうです。情報は印刷された頃には、鮮度が落ちて、役に立たないことが多い。貴重なヒントは、自分の目と耳が頼りです。

また経営者の基本は、自分の目で見て、自分で確認すること。現場を知らない経営者なんかが、部下を率いることはできない。常に現場の最前線に立って、お客さんの声を聞いて、情報を収集する。私は現在でも出張や旅行のときには、必ず地元のスーパーマーケットの売り場に行きます。日清食品の製品が、どのように扱われ、お客さんがどのような選択をするのかを知るためです。こうした情報を頭に叩き込んでおかないと、重要な経営判断なんかできません。