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「経験がない」なんていいわけにすぎない

「経験がない」なんていいわけにすぎない

―小売業としてスタートしたニトリが、どうやって異分野のノウハウを獲得していったのですか。

 イチから勉強して、とにかく挑戦あるのみ。最初はそんなノウハウなど社内の誰ももっていません。でも、モノづくりにせよ、物流にせよ、世の中にはその事業を手がけている会社がたくさんある。だったら、自分たちにできないはずがない。

 異分野に挑戦するとき、最初は「専門外なので…」と、しりごみする社員もいます。それに対しては、私が率先して「ならばオレがやってみせる」と実行してしまう。すると、「なんだ、できるんだな」と。そうやって、社員に挑戦する姿勢を教えてきました。

 「前例がない」「経験がない」なんて、いいわけを探している限りなにも生まれません。理想が高ければ高いほど、現実がなかなか追いついてこないのは確かです。しかし、その高い理想と現実を一致させることが私たちの仕事なのです。いまや「挑戦する文化」がニトリの社内の隅々にまで浸透しています。どれだけ厳しい課題に直面しても、社員のチカラで克服できると信頼しています。

上場企業平均の約5倍社員教育に投資している

―そこまで信頼できる人財を、どうやって育成しているのですか。

 ニトリでは社員教育に、平均的な上場企業の約5倍の投資をしています。それによって一人ひとりのモチベーションが高まり、成長してくれる。結果として、同業平均の約2倍の労働生産性を実現しています。

 「会社のために犠牲になれ」といわれて、がんばり続けることなんてできるわけがない。私自身もそういう人間でしたから。「自分のために働くように」と伝えています。たとえばサービス残業をさせるなど、社員のモチベーションを落とすだけです。ニトリでは1分でも就業時間を超えたら残業代を支払っています。

―社員教育の内容を教えてください。

 若いうちは、なによりも経験を積ませています。「製造物流小売業」というビジネスモデルをもっているニトリでは、ビジネスの領域が極めて広い。必要な職種も多岐にわたります。そのため、社員を2〜3年ごとに異動させ、製造・物流・小売などさまざまな部門を経験させる「配転教育」を行っています。つねに新しい業務に挑戦し続け実績を上げさせることで、総合力を養っていくのです。

 というのも、20代のうちは、とにかくカラダを動かす時期だから。現場の最前線で何回も繰り返して、ありとあらゆる業務のオペレーションを体験する。それによって、仕事をするために不可欠な「観察・分析・判断」をする総合的なチカラが身につくのです。

 それが血肉になって30代を迎えた人財は、きわめて生産性の高い仕事ができる。影響力のおよぶ範囲はまだ小さくても、メンバーを動かして効率的に仕事を進めたり、いままでの仕組みを見直して改善することもできるようになります。

―そんな経験をして40代になると、どん な人財に成長しているのですか。

 経験と知識を活かし、新しいニトリをつくりあげていく、イノベーションを起こせる人財になるのです。本格的にマネジメントに携わるようになり、大きな影響をおよぼせる。必要ならば、過去をすべて否定して、まったく違う仕組みに変えてしまえばいい。