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株式会社T&C  JAPAN

空間デザイナーの秋葉達雄氏。接客の現場から生まれた“秋葉マジック”と呼ばれる独自の手法を駆使し、商業用・住居用を問わず、意外性や娯楽性に満ちた、感動空間をデザインしている。その秋葉氏が代表を務める空間デザイン集団・T&C JAPANは、いま、国内はもちろん、東南アジアを中心に海外プロジェクトにも注力している。アジアへ進出する日本企業を、空間デザインの面からサポート。魅惑の商業空間を生み出す秋葉氏に、巨大マーケットが眠るアジアでビジネスを成功させるカギについて聞いた。


海外での成功の秘けつは、その国の文化を知り抜くこと

―T&C JAPANは東京・渋谷の高層ビルのパーティースペースから、海辺の別荘、街なかのラーメン店、繁華街のナイトクラブにいたるまで、国内の多くの空間をデザインしてきました。それがいま、海外のプロジェクトも手がけているそうですね。

 はい。いま動いているものだけでも、シンガポールのスパニッシュレストラン、ベトナム・ハノイのうどん店など、複数の飲食プロジェクトにかかわっています。また、2020年12月オープン予定のマレーシア・クアラルンプールの商業施設では、空間デザインはもちろんのこと、テナントを見つけるリーシングなども含め、プロジェクト全体に携わらせていただいています。レストランやエステ、さらにクラブ、またeスポーツの競技場などが入り、私たちが空間デザインをする予定です。

―海外プロジェクトに積極的に取り組んでいる理由を教えてください。

 海外市場へ進出する日本企業をサポートして、成功するお手伝いをしたいからです。少子高齢化でマーケットがシュリンクしていく日本企業にとって、急速に巨大化しているアジアのマーケットはとても魅力的です。ですが、成功をおさめている企業が多いかというと、決してそうではない。「現地に進出し、何年もかけて取り組んでいるのに、なかなか思うような成果が出せていない」という企業が多いのが実情です。せっかく大きな市場が目の前に広がっているのに、日本企業の多くがそれをうまく活用できていない。そこに歯がゆさを感じているんです。

―日本企業が成果を出せていないのはなぜでしょうか。

 「現地のことについて、あまり知らない」ということが言えると思います。その国の人たちのライフスタイルやカルチャー、トレンドについての理解が足りていない。たとえば外食産業で、日本で成功した店舗スタイルをそのままもちこんでしまい、失敗しているケースがとても多いんです。店舗のスタイルに対する嗜好だけでなく、施工方法も違えば、空調機器や上下水道といったインフラがどの程度、整備されているのかも違います。その違いによって、日本での成功パターンとは異なる対応をしなければならないのに、それができていない企業が多いんです。
 たとえば、私たちは、いま、ベトナムでピザ店を開く準備を進めています。日本でピザといえば、お店で食べるにしろ、宅配を頼むにしろ、手づかみで気軽に食べるものですよね。でも、ベトナムではナイフとフォークを使って食べるものなんですよ。

―えっ。そうなんですか!?

 はい。ベトナムの一般の人たちにとって、ピザは“ちょっとしたぜいたく”。恋人をデートに誘い、お店で一緒に食べるようなイメージなんです。ですから、店舗デザインは、おしゃれな雰囲気にする必要があるわけです。これはほんの一例。日本と同じような感覚で店舗づくりをしてもなかなかうまくいかないことを、わかっていただければと思います。

―なるほど。経済発展を遂げたといっても、日本とは異なる暮らしのステージにあるわけですね。

 おっしゃる通りです。その一方で、経済発展によってたくさんの富裕層が誕生している。一般の方々ではなく、そちらをターゲットにしたビジネスを展開する、ということも考えられるわけです。その場合、富裕層が楽しめる、洗練された料理やエンターテインメントを提供できるお店にすればいい。急速に富裕層が増えているので、そういう人たちが楽しめる場所が限られ、絶対的に足りていないからです。
 私たちはもともと、日本国内でラグジュアリーな店舗やセレブのつどうパーティースペースなどのデザインを任せていただいているので、富裕層向けを意識したデザインは得意分野のひとつ。具体的な提案をすることができますよ。