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「全員経営」と「サービス第一」が生命線

「全員経営」と「サービス第一」が生命線

―ヤマトグループの従業員数は約18万人。それだけの人員を束ね、DNAを浸透させるのは大変だと思います。どんな取り組みをしているのですか。

一貫した組織哲学に基づく経営をすることで、自然とDNAが伝わり、継承されるようになっています。大企業の組織図は通常、ピラミッド型です。頂点は経営陣で、真ん中にマネジャー、その下に現場で働く人たちがいるカタチです。しかし、ヤマトグループは違います。当社の組織図は逆三角形。一番上は、顧客とエンドユーザーの総称である「お客さま」、その次に位置するのは、最前線で荷物を運ぶセールスドライバー(以下、SD)たち。われわれ経営陣は最下層に位置し、最前線にいるSDたちのバックアップに徹する役割を担っています。

―現場ではSDの権限が強いということですか。

そうです。実際、SDには多くの権限を移譲しており、自主的に業務判断できる仕組みになっています。顧客やエンドユーザーから聞いた要望に、即時対応するためです。これを当社では、「全員経営」「サービス第一」という理念に集約しています。現場に権限がなく、上が押さえつけている組織では、仕事をやらされている感が強く、士気が低下。サービスレベルも業績も上がりません。当社の生命線は「全員経営」で働いている、現場のSDたち。SDがお客さまの声を吸い上げ、新商品開発のきっかけをつくることもしばしばです。

―新商品を開発するにあたり、どんな方法で市場ニーズを掘りあてているのですか。

ニーズというのは、なかなか表面化しないものです。逆に、「もっと早く荷物を受け取れないのか」とか「深夜に届かないのは不便」など、クレームはよく出てきます。クレームとは、じつはお客さまが「解決してほしい」と願っている困りごとの裏返しなんですね。ですから、当社の新商品開発の基本スタンスは、クレームを真摯に聞き、それをなくすことにおいています。

―どのようにしてクレーム情報を収集しているのですか。

一般的に、クレーム情報は経営陣に届きにくい。そのため、さまざまな方法で積極的な情報収集に努めています。「朝ミーティング」と称している、毎朝7時30分から本社役員室で開く会議はそのひとつです。ときにはお客さまからのクレームをヒントに、現場と経営陣が一緒になってより便利なサービスを検討します。新商品や新サービスは、そこで生まれることも多いですね。また、半年に一度は全国の支社に出向いて、各拠点、各現場の担当者の提案を直接受けます。そのなかにはお客さまのクレームやご要望がきっかけとなった新サービスの提案も数多くあります。1988年に開始した「クール宅急便」もクレームから生まれた商品でした。げn