【フィリピンで成功している日本人とは】

―フィリピンでビジネスにおいて成功している日本人と言えば、井坂さんは誰を思い浮かべますか？

　成功の定義にもよりますが、最近よく聞くのが若い日本人の方々がフィリピンでソーシャルビジネスを立ち上げたという話ですね。たとえば、フィリピンの貧困問題の解決のためにオンライン英会話事業を運営するワクワーク・イングリッシュ代表の山田貴子さん。他にも志高くポリシーを持った日本の若者がフィリピンをはじめアジア各国で起業したという話を聞きますね。

―異国の地でソーシャルビジネスを立ち上げるとは、日本の若者も捨てたもんじゃないですね。

　そうですね。私も負けてられません。うちの卒業生の中からも起業した人が多数います。ネットビジネス、オンライン英会話、製造工場、ホテルなどで起業した人もいます。

―最近では日系の大手企業もフィリピンに続々と進出してきているようですね。

　つい最近ではユニクロもマニラに進出しました。また吉野家や和民、牛角、ペッパーランチ、山頭火などのラーメン屋などもたくさんオープンしています。

【フィリピンの日本企業の求人状況】

―日系企業の進出にともなって、日系企業の求人もたくさん出ているそうですね。

　そうですね。フィリピンの日本企業の求人意欲も旺盛でしょうね。フィリピン人の消費意欲は高いので、まさにフィリピン経済の好調の波に一緒に乗っている感じだと思いますね。

　こうした状況を踏まえて、うちの学校でも新しいコースを設ける予定です。アジアで就職したい日本人向けのコースです。英語の勉強だけでなく、より実践的なビジネス英会話（英語での電話応対、履歴書作成、面接、ディスカッション）を学んでもらって、就職先のお世話もしていこうというプランです。そのためにシンガポールにある日系企業向けの人材紹介会社JACさんと業務提携もしました。

―なるほど。将来的に御社自身で人材紹介ビジネスはしないんですか？

　今のところ、その予定はありませんね。今は格安マンツーマン語学事業に特化して、そこで強みを磨き続けたいと思っています。

【フィリピン人の採用について】

―ちなみにフィリピン人講師の人材採用はどのようにして行っているんですか？

　立ち上げ当初は、ほとんどクチコミでしたね。講師の親戚や友人などがクチコミで面接に来てくれました。最近はバギオというフィリピンの教育都市で新聞広告を出したり、Jobstreetという求人サイトに出稿したりもしています。またパートナーのガーリーの両親が総合学校や総合病院を経営しているので、そのネットワークで講師募集をかけたりもしますね。

【フィリピンの人件費について】

―フィリピン経済が好調とのことですが、人件費は上昇していますか？

　そんなに上昇していないと思いますよ。マニラの大卒初任給で1万2000ペソくらいかと思います。日本のちょうど10分の1くらいですね。大卒でなければ3000ペソから5000ペソくらいが相場じゃないでしょうか。もちろん職種やポジションによって変わってくると思いますが。

【ビジョン：教育を通じたオープンアジアを目指したい】

―最後に今後の御社のビジョンを教えてください。

　今は生徒のほとんどが日本人ですが、近い将来は韓国人や中国人などのアジア各国の生徒を受け入れて、国籍を越えた相互交流をしてもらいたいですね。そして教育を通じた“オープンアジア”を目指したいと思います。政治的には各国間で様々な問題を抱えていると思いますが、この学校で日本人と韓国人と中国人が寝食を共にして英語のコミュニケーションを軸に平和的な関係を築けたら最高だなと思います。

　また先ほども少し触れましたが、英語勉強だけでなく、実際のビジネスにつながる場にしていきたい。アジアで就職するコースやアジアで起業するコースも将来的に設けたいですね。たとえば将来、この学校で出会った日本人と韓国人と中国人がコラボして起業したりするなんて考えただけでワクワクしますね。これからもアジアの社会的教育インフラになるために頑張っていきたいと思います。