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株式会社サイバーエージェント

「アメーバ、ブログ♪」。最近、巷でこのフレーズをよく耳にする。『Ameba』は3,000万人以上のユーザーが利用するインターネットメディア。『Ameba』といえばブログ。これは一般的に広く認知されているといっていい。しかし、同メディアを運営するサイバーエージェントは、かつてインターネットの広告代理専業だった。それが、代表・藤田氏の慧眼と果敢な決断により、日本を代表するインターネットメディア企業へと変貌を遂げたのだ。近年は、ベンチャーキャピタル事業にも注力しているという同社。いかにして、現在の地位を確立したのだろうか。起業家、藤田氏の経営手腕に迫った。
※下記の記事は「ニッポンの社長」から転用した記事になります(http://www.nippon-shacho.com/interview/in_cyberagent_2/)


―昨年10月に投資事業本部を設置し、ベンチャーキャピタル(VC)事業を強化したそうですね。狙いはなんですか。

 ベンチャー企業の成長を支援し、キャピタルゲイン(株式の売却益)を得るためです。これまでも当社は、ミクシィやディー・エヌ・エーなど数多くのベンチャー企業に投資してきました。自社の子会社を含めると計26社に投資し、キャピタルゲインは447億円です。

 ただ、単に事業としての魅力だけでなく、次代を担うベンチャー企業をサポートしたいという想いがあるのも事実。私自身、当時インテリジェンスの社長だった宇野(康秀)さん(現:USENグループ会長)から投資していただいたおかげで、サイバーエージェントをスムーズに立ち上げられた。その後、なんとか会社を上場させ、キャピタルゲインで恩返しもできました。この経験があったからこそ、「VCの仕組みはすばらしいな」と。

 ここ最近は、景気回復や政府の支援といった外部環境の変化から、ベンチャー業界にも追い風が吹いている。だからこのタイミングで100億円の予算を用意し、積極的にVC事業を展開していこうとしているのです。

―ほかのVCとの違いはなんでしょう。

 私が直接トップに会って投資するかどうかの最終判断をするほか、経営のアドバイスも行います。いわば「藤田ファンド」です。私自身、起業家として事業をつくりあげてきたので、ベンチャー経営者が抱える苦労がわかる。それに過去の経験から、これから陥りがちな罠を事前に伝えられますから。

 思えば私も、宇野さんや熊谷(正寿)さん(GMOインターネット代表取締役会長兼社長)といった名だたる起業家からアドバイスを受け、さまざまな経営の壁を乗り越えることができました。次は、私がその役割を果たそうというわけです。

 ある程度の実績がある起業家が、次の新しい起業家に投資をして育てる。これは社会的にも意義のあることだと考えています。