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株式会社ディー・エヌ・エー

Apple、Google、Facebook…。世界的メガベンチャーはつねにシリコンバレー生まれ。国内勢はその後塵を拝するばかりだ。そんななか、「世界をとる」と本気で宣言した起業家がいる。DeNA創業者で、次々と新しいインターネットサービスを生み出してきた南場氏だ。家庭の事情で同社代表を退いたいまも、世界戦略の推進と人材採用をになう。グローバル企業へのビジョンと世界に通用する人材の条件を同氏に聞いた。


―世界的メガベンチャーへと飛躍する国内ベンチャー企業が出てこないのは、なぜですか。

 起業する人が圧倒的に少ないからです。起業がクールなことだと認識されている米国では、優秀な学生ほど起業する。エスタブリッシュメント企業に就職するのは、むしろ恥ずかしいという風潮があります。

 日本では起業家の数が少ないうえに、優秀な人が起業家にならない。起業の成功確率はただでさえ低いのに、これではメガベンチャーが出てこないのもあたりまえです。

―起業に向かない気質の人が多いのでしょうか。

 いいえ、そうは思いません。日本人の多くはクリエイティブで、事業立ち上げへの意欲も商売の才覚もある。問題は教育です。解答欄に正解を書きこんでマルをもらう。そんな教育によって、生来のアントレプレナーシップがおさえつけられてしまうんです。

 つねに「間違ったことをしないように」と意識し、組織にとけこもうとする人材を育てる。これは加工貿易立国に最適化された教育システムです。でも、もはやそれでは立ちゆかない。新興国にポジションをゆずらざるを得ないからです。これからの日本に必要なのは、欧米の発明品を大量生産することではなく、自ら新しい発明をどんどん生み出すこと。それには、優秀な人がもっと気軽に起業するようになってほしいです。

―そんな日本で、DeNAがここまで成長できた理由はなんですか。

 人材の質が圧倒的に高いことです。とかくベンチャー企業は、大企業に入れなかった人たちの集まりになりがちです。そうはなりたくなかった。だから、どんなに人手不足でも歯を食いしばって、優秀な人材だけを採用するようにしてきました。

 手が足りないときにはアウトソーシングなどを活用。正社員で採用するのは、「ほかにアテがないから」ではなく、「どの会社にだって入れるけれど、DeNAに入りたいんです」という人だけに限ってきました。