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PERSONNEL CONSULTANT MANPOWER(THAILAND) CO., LTD.

【偶然が重なりタイで起業】

―話は変わりますが、小田原さんの起業の経緯を教えてもらえますか?

タイで起業したのは本当に偶然でした。いろんな偶然が重なってタイで起業することになったんです。もともと私は海外で仕事をしたいという想いがあって、最初マレーシアのクアラルンプールに行ったんです。そこで2週間ほど仕事を探したんですが、仕事は見つかりませんでした。

マレーシアから離れて他の国に行こうと思い、鉄道の駅に行きました。そこでどういうわけか北上する列車に乗ったんです。もしその時に南下する列車に乗っていたら、今頃シンガポールで会社を経営していたかもしれませんね(笑)。そうして列車でタイのバンコクに着き、まず驚いたのがバンコクがすごい都会だったということ。もっと田舎だと思っていたんですが、想像以上に栄えていて驚きました。

バンコクで仕事を探して3週間ほどして、ある日系の不動産会社に就職しました。当時バンコクには旅行会社か不動産会社くらいしかサービス業をしている日系企業はありませんでした。今みたいに海外で起業している日本人は多くなく、非常に稀だったんです。

その日系不動産会社では何でも屋さんのような仕事をしていましたね。もちろんメインは不動産業なのですが、実際はよろずや状態。バンコク駐在の日本人向けに不動産を紹介して、その後もあらゆる要望にお応えしました。その中でも多かったのが人の紹介でしたね。「誰から良いタイ人運転手いないかな」や「こういう能力を持ったタイ人スタッフを探している」などの要望に一つ一つお応えしていきました。

その後、自分自身で会社経営がしてみたいと思い、当時の同僚と一緒に立ち上げたのが今の会社です。当初は不動産事業もしていたのですが、人材紹介の売上の方が上がるようになり、会社を人材紹介事業に特化することにしたんです。そして今に至るという感じですね。

【日系企業のタイ進出はブームではなくトレンド】

―長年タイにいる小田原さんから見て、以前までのタイと今とでは、日本企業の進出において何か違いはありますか?

以前はタイの進出ブームというのがありました。第2次タイ進出ブームは1988年、第3次が92年。しかし最近はブームというよりも、ずっと増え続けているという印象ですね。毎年、過去最高の進出熱を更新しているような肌感覚ですね。なので、来年の方がもっとタイ進出は多いと思います。進出企業数自体も激増していますよ。また、ここ最近の特徴でいえば小さい企業でもタイに進出してきているということですね。日本人一人だけタイに送り込むというようなことも多くなってきている印象があります。

業種でいえば1990年代までは圧倒的に製造業でしたが、2000年代に入ると販売会社や商社、2010年代にはサービス業が多くなってきた感じですね。いよいよタイを市場として見込んで進出してきている日系企業が増えてきたわけです。

―数多くの日系企業の進出を見てきた小田原さんが考える「タイ進出で成功する日本企業と失敗する日本企業」の違いは何ですか?

やはり人材を大事にしているかどうかだと思います。人材を駒として見ている企業さんはあまりうまくいっていない場合が多いですね。逆に長期的な人材育成を考えて経営している企業さんはうまくいっていますね。

また現地のタイ人の方を積極的に登用している会社さんは強いですね。たまに管理職は日本人ばかりが独占して、タイ人が管理職になれないような日系企業もありますが、そういう会社のタイ人の離職率は本当に高い。どんなに有能でやる気のあるタイ人が入社しても、頑張っても上には行けないと分かると、すぐに転職してしまいます。タイでうまくいっている日系企業をみると、みなさん積極的にタイ人スタッフを信頼して登用して権限委譲していますね。