
ビルやマンションといった建築物の資産価値の維持向上に欠かせない建材のひとつが建築仕上塗材だ。この分野で圧倒的なシェアを誇るエスケー化研代表の藤井氏に、業界トップを継続できる理由などを聞いた。
※下記はIR通信vol.1(2014年8月22日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
世の中にないものを つくり続ける
―5期連続で増収増益を果たしています。好調な業績を続けられる理由を教えてください。
時代のニーズに合った製品を提供しているからです。近年の建築業界は、新築よりもリフォームの需要が多く、建物を長持ちさせるための建築塗材の需要が伸びています。また、東日本大震災の影響もあり、今後は「省エネ」「安全」「安心」への配慮が建物に求められています。
そうしたなか、当社は国内初・世界初にこだわり、不燃断熱材や意匠性の高いセラミック系耐火被覆材、超低汚染塗料など、付加価値の高い製品を開発しています。
―なぜ国内初や世界初の製品を開発できるのですか。
「無から有を生じる」という創業の精神が根づいているからです。もともと当社は、何もないなかで廃溶剤のリサイクルからスタートした企業です。その後、2度のオイルショックを経験し、有機系材料だけでは資源に限りがあるとのことで、無尽蔵に存在する石や砂など誰でも手に入るモノに着目し、自然素材を使った無機質系塗料を開発。革新を起こしてきました。
近年は「世の中にないものをつくる」を使命に、塗料以外の新しい化学建材の開発も強化。世界が求める建築仕上塗材を生み出すため、日々研究開発に取り組んでいます。
―創業から約60年がたちます。継続経営の秘訣を聞かせてください。
「ピンチをチャンスに変えていく」という強い意志をもち、それを率先垂範してきたことですね。会社を経営している限り、ピンチは必ずやってきます。そこで一歩も逃げることなく、真正面から立ち向かうことが会社の継続につながります。
―具体事例を教えてください。
1993年に、大きなクレームをだしたことがあります。そのときは、10~20年経ったマンションの改修需要が全国的に増加。古いマンションの外壁は傷んでいるので、塗装する前に下地を補修する必要がありました。そこで、業界初の下地補修材を開発。ヒット商品になったんです。
ところが、販売して1年ほど経った頃、下地補修材を使用した壁がひび割れや、はがれを起し、全国から多数のクレームが寄せられることに。原因を調査すると、検証テストが不十分なまま商品化したことが原因だと判明しました。