―JTCに出店している企業はどんな製品・サービスを販売しているのでしょうか
日本にあるほとんど全ての製品・サービスです。7年前から日本中の多くの中小企業に連絡をして、海外で通用しそうな製品・サービスを持つ数万社に働きかけをしています。その中から、ドバイでの展開に賛同されたメーカーの製品やサービスを、順番にJTCへ持ち込んでおります。
現地のバイヤーに販売するコツは、バイヤーのよき理解者として先方が抱えている課題を把握することです。商品力の高さは当然必要ですが、日本国内のビジネスと同様、お客様の課題を把握し、Face to Faceでのアドバイスや情報提供など、先方のビジネスを応援するスタイルではなければ成功しません。このようなスタイルを継続できれば、バイヤーから末永い取引をしたいと期待していただけるようになります。商品というより、人間を売り込む方が先なのです。
―JTCを開設して、手応えはいかがですか。
おかげさまで、驚くぐらいの手応えを感じています。日本製品はユニークで高性能ですし、世界に通ずる飲食店やサービス業も多く、世界中で人気があります。
また、日本製品のポテンシャルが非常に高いことも感じています。使い方が知られていない日本製品はたくさん存在します。例えば、日本では当たり前の温水洗浄便座も、世界では98%の国が使用しておりません。どんな製品なのか説明するとビックリされますね。つまり、それだけ爆発的な市場が眠っているということです。
―今後はどのような戦略で、日本の中小企業の製品をドバイに広めていくのでしょう。
私たちは、これまでに日本の41万社に海外進出セミナーや個別相談会を行い、延べ56万社分の企業データベースを保有しています。そのため、「どの会社がどういった製品やサービスを持っているか」、把握しているのです。またドバイの現地企業にも、1日1000社以上にテレアポを行い、「どの企業がどんな事業を展開し、どういう強みがあってどういう顧客がいるのか」、アナログな方法で情報収集しています。それらのデータベースを活用することで、この日本製品を販売したい場合はどの企業・どの担当者にアプローチすればいいかが分かり、おのずと効率が上がります。数年後にはドバイを経由して、世界のあらゆる市場や顧客層に、日本の製品を流通できるようになるでしょう。
またセールスをする前に、フィジビリティ・スタディを実施し、営業戦略を立てています。「何を」「誰に」「どのチャネルで」「どう差別化して」「幾らで」、現地を調査した上でこの5つを決め、勝てる理由・戦略を見つけてからバイヤーのところに行かないと、効率的ではありません。これらの戦略によって、JTCにはいつも良い商品があると認知されて、さらなる発展にも繋がるでしょう。
―山本様は、東証一部上場企業である光通信で取締役を務めていましたが、そこから独立したのはなぜでしょうか。
元々、当社グローバルパートナーズ株式会社は、ソフトバンク、アリババ、光通信の合弁会社として設立しました。その後、事業の可能性や意義に共感いただき、上場企業やそれに準ずる企業など20数社が出資してくださり、約10億円の資本金でスタートしました。
光通信時代は、携帯電話・インターネット・保険・OA機器などの販売代行が主な仕事でしたが、今回は私たちがサービス提供者として、各企業の海外進出支援を行っています。その発起人である私が中途半端な覚悟だったら成功しない。そう考えて、ライフワークとしてやり切るためにも独立(MBO)しました。