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QUICK VIETNAM

昨今、ベトナムに進出する日本企業がさらに増えている。しかしベトナムで人材ビジネスを展開する古屋氏は「ベトナムの内需をターゲットにする場合、成功するためには地道で継続的な事業展開が必要。一朝一夕には難しい」と語る。同氏にベトナムビジネスの実情について聞いてみた。(取材内容は2014年3月時点のもの)


【2012年からベトナムで人材ビジネスを展開】

―まず御社の事業内容を教えてください。

 ベトナムで人材紹介事業を展開しています。主なサービスとしては日本在住やベトナム在住の日本人の方をご紹介しています。弊社の強みは日本との連携や北米(ニューヨーク、ロサンゼルス)や中国(上海)ともネットワークを持っていることです。

 そもそも当社は東証二部上場の株式会社クイックの100%子会社としてホーチミンで2012年にスタートしました。親会社の株式会社クイックは人材紹介や教育研修などグループ連結売上約90億円、社員数600名ぐらいの日本でいえば中堅人材サービス企業になります。

―最近、ベトナム進出をする日本企業が増えている印象があります。

 そうですね。年々増えていると思います。今までは生産拠点としての進出が多く、最近ではベトナム市場の内需狙いのサービス業の業態の進出が多いと思います。

 しかしベトナム市場を狙って成功している日本企業はすでに20年くらいの歳月をかけてベトナムでビジネスをしているので、一朝一夕で結果が出るわけではありません。いま上手くいっている日本企業でいえば、エースコックさん、味の素さん、久光製薬さん、ロート製薬さん、ホンダさん。どの企業も20年近くベトナムで地道に事業を展開していて、ようやく今になって結果が出てきているということです。サッポロビールさんも今は投資フェーズで、10年くらいかけて事業を軌道に乗せる予定だと聞いたことがあります。

 人材育成にしても、ベトナムで事業を軌道に乗せるには時間がかかるんです。ですからベトナムに進出する際、企業として時間軸の置き方は非常に大事です。短期的に利益を出すのは非常に難しいと思います。

 もちろん生産拠点としてオフショア開発などでベトナムを活用する場合は、比較的すぐに事業は軌道に乗ることもあるでしょう。しかしベトナムの内需を期待した場合、すぐに黒字化するのは難しい。実際、ベトナムでは中間層は増えていますが、いわゆる富裕層と呼ばれる人たちはそんなに多くはいません。