横浜に事務所を構え、神奈川、東京のほか、アフリカ・アジアを中心とした途上国を中心に活動を続けるQMインターナショナル株式会社。製造業の品質・生産性の向上に対する豊富な現場経験があり、長く培ってきたノウハウに定評がある。その同社が提供するサービスが、徹底した現場主義にもとづく「日本式KAIZEN」。中小企業診断士の資格をもち、これまで多くの国と企業で確かな成果をあげてきた同社の田淵代表に、事業やサービスの中身などを聞いた。
―まずは事業内容を教えてください。
経営コンサルティング事業を展開しています。主に「KAIZEN」技術を活かし、海外の製造業向けにコンサルティングサービスを提供しています。これまでは、政府の開発援助であるODAを使って途上国の産業振興支援を行ってきました。今後は現地の民間企業からの直接受注によるサービス提供にも力を入れていきたいと考えています。
―サービスにおける特徴と強みについて教えてください。
当社が提供しているサービス「日本式KAIZEN」は、製造業においては「品質と生産性を向上する活動」ということになります。営利企業の一つの大きな目標は、より多くの利益を作り出すことと言えますが、当社では品質向上(=不良の低減=原材料費の低減)、生産性の向上(=設備・人員を増やすことなく生産能力を向上)を通じて、企業により多くの利益を生むお手伝いをします。顧客企業の現場責任者と一緒に原因究明を行い、有効な対策を立案して品質と生産性の向上に取り組むのがこのサービスです。
その中で当社の強みとしては、現場での長い実務経験によって、品質と生産性の向上のためにどんな対策が有効であるかを判断できる感覚が身についていることが挙げられます。製造現場で20年以上にわたって不良対策に専念してきましたから、その経験自体が品質向上を実現する固有のノウハウとして確立されているわけです。
また、小規模の生産現場における生産管理も経験していることから、生産計画、在庫管理を含む生産性向上についてのノウハウも保有しています。当社のサービスの提供によって、現場で明確な成果を出す自信がありますから、成果報酬による契約でも依頼をお受けすることが可能です。
―KAIZENサービスによってどのようなメリットが得られるのですか。
品質向上でいえば、たとえばKAIZENサービスによって不良率が5%から2%に下がれば、不良により廃棄せざるを得ない原料費や労務費などのコストも半分以下になります。いっぽう生産性向上においても、従来10人で行っていた生産量を8人で生産できることになればコストは少なくなり、その分利益が増加します。途上国で不良の原因追及を行うと、現地のコンサルタントはスキルギャップや不注意といった個人の振る舞いに向かってしまいます。「技術が足りない、トレーニングが足りないから仕方ない」と言うのです。これは教育や文化といった背景にもとづいていて、ある意味仕方のないことではあります。でも実際にはそうではなく、不良が出るからには固有の原因があるわけで、不良を追及するためのポイントについて、当社は、真に効果のでる根本原因究明を行います。
また生産性が低い原因としては、たとえば「ラインバランス」の悪さが挙げられるでしょう。モノをつくる工程においては、各プロセスのすべてが均等に動いているような状況はまずありません。半分くらいは遊んでいることも普通にあります。その点を上手に調整してバランスをとることで、全体の生産性を上げることが可能になります。こうしたことは日本の製造業の現場では普通にやっていることなのですが、途上国ではまだまだ十分に浸透していないのが現状といえますね。