東証一部上場企業の光通信で伝説の営業マンと呼ばれ、弱冠28歳で取締役に就任した山本氏。しかし、彼は情報通信業界でのキャリアを捨てて独立。ドバイを中心に、日本企業の海外進出を行うグローバルパートナーズ株式会社を設立した。日本では「ショッピングや観光の名所」として知られることが多いドバイだが、彼の目にはどのように映っているのか。ドバイが持つマーケットとしての魅力は何か。日本製品がドバイで勝てるチャンスや戦略とは何か。誰も踏み込んでいない領域で着実に活路を見出しつつある山本氏に、ドバイの魅力と今後の展望を余すことなく語ってもらった。
―まず御社の事業内容を教えてください。
「グローバル競争時代における経営支援パートナー」として、中小企業の海外進出を支援しております。特に近年は、ドバイにあるジャパン・トレード・センター(以下JTC)の運営に注力しています。
―なぜドバイに着目するようになったのでしょう。
ドバイには世界中から10万社を超える商社が集まっており、日々、多くの商談が行われています。人口30億人を超える周辺諸国への窓口として、世界で最も貿易が活発な都市の1つであることに間違いありません。そのため、日本の大手メーカーや商社はすでにドバイへ進出していますが、中小企業は海外進出どころか、国内での営業に苦戦しているのが現状です。しかし、日本は人口が減り続け、マーケットも飽和しています。これから20~30年はさらに厳しくなるでしょう。そのため、中小企業も売上拡大の活路を海外に求めるべきだと考えています。
―JTCには現在どのくらいの日系企業が出店しているのでしょう。
駐在員を派遣して自社で出店している企業は約30社。出店者に販路開拓を委託している出品者は300社を超えています。
私たちのベンチマーク先の一つは、ドバイにある中国製品マーケット“ドラゴン・マート”です。2004年に中国政府とドバイ政府のサポートで設立されたドラゴン・マートは、床面積4万坪を誇る巨大施設。そこに4000社を超える中国の中小企業が集まっており、卸売りや小売りを展開しています。
現在、ビルを増床中で、近々10万坪になる予定だそうです。私たちはこのドラゴン・マートに負けないよう、ジャパン・トレード・センターに優れた日本製品と人材を集め、日本の中小企業が海外で売上拡大できる活路を見出しています。