アジアの注目企業

企業紹介

“人”を経営の軸に置き、進出国の人々の笑顔を増やしていく		
			
 キュービーネットホールディングス株式会社 代表取締役社長 北野 泰男
キュービーネットホールディングス株式会社

“人”を経営の軸に置き、進出国の人々の笑顔を増やしていく

キュービーネットホールディングス株式会社

代表取締役社長 北野 泰男

ーアジアでの御社の事業内容について教えてください。

 10分ヘアカット専門店「QB HOUSE」は、都市部を中心に国内では34の都道府県に展開しており、その店舗数も国内外合わせて700店舗以上。意外と知られていませんが、シンガポール、香港、台湾、米国(NY)と4か国で135店舗展開、日本以上の人気を博しています。現在、全店舗数の約2割が海外店舗となっており、現地子会社社長と教育指導の2名を除けば現地雇用を軸として営業しています。1996年、ヘアカット専門店というジャンルを国内で最初に構築、その6年後には海外進出を果たしていた「QB HOUSE」ですが、海外進出しすぐに、大きな壁にぶち当たることになります。
 “飲食や物販ではなく、サービスを売る”これは想像以上に困難が付きまといました。技術は国によって器用不器用があり、接客は接客でその必要性をなかなか感じていただけませんでした。「なぜ、お店を出たお客さまの背中に向かってお辞儀をするのですか」サービスの違いは文化の違いでもあったのです。日本式サービスの伝授。これは流石に業務提携やフランチャイズ展開では克服することはできず、後述のタイでの失敗をもとに、現在では海外全店を直営で展開しています。

ーアジア展開を決めた理由や、これまでの経緯について教えてください。

「このビジネスに終わりはない。国境もない」これは今は亡き創業者の熱いメッセージ。人は生きていれば髪は伸びるものであり、世界中のどこにいてもこのビジネスは通用すると考えていましたので海外展開は必然でした。しかし、なぜアジアからなのか。
 実は日本人をはじめとするアジア人の黒髪は世界で最も硬く、切りにくい髪と言われています。理美容師の資格制度も全世界で数か国しかなく、現在、アジアでは日本のみ。欧州の技術はカットというよりはブロー&ヘアセットが主流ですので、まさに日本の理美容技術は世界一と言っても過言ではありません。さらに日本はアジアの中ではまだまだ憧れの国でしたので、いわゆる親日国家を中心に展開していくことが事業成功への早道でした。
 また、進出国のためにも現地雇用は必須と考えていましたので、最大の課題は人材育成でした。私たちが必要としたものは、素人にも分かりやすく短時間でカットする技法や、日本式接客を伝える育成プログラムでした。理美容師のプロがプロとなる人を育て上げるために構築したプログラムは、今や日本に逆輸入されて、社内カットスクールとして多くの休眠理美容師や新卒の育成に活用されています。

ーこれまでのアジア市場での実績について教えてください。

 2002年のシンガポールを皮切りに、2005年香港、2012年台湾、2017年米国(NY)と海外へ進出、今ではシンガポール34店舗、香港67店舗、台湾30店舗、米国(NY)4店舗と順調にお客さまの信頼や支持を受け、店舗数を拡大していきました。しかし文化や気候、商習慣の違いのほか、特に“コピーキャット”と呼ばれる模倣店が当たり前のアジア圏では、「QB HOUSE」が一夜にして「QC HOUSE」となる世界。いくら知財登録をしても負けることもあり、競争相手・市場が違うのだと受け入れなければなりませんでした。
 一方で「QB HOUSE」でないと分かっていても、「そこでもいいや」と思われてしまうことに悔しさ、未熟さを痛感したのも事実。それをバネにし常に進化、脱コモディティ化を図ると決意した瞬間でもありました。現在、国内では「QB HOUSE」のほか、「FaSS」「QB PREMIUM」というブランドを展開していますが、その本当の1号店はいずれもシンガポールです。そう、ターゲットを変えた新ブランドを、より日本に近いシンガポールで試験的出店し、PDCAをまわした“完成版”を日本へ持ってきているのです。

ー今後アジア進出を考えている経営者へのアドバイスをお願いします。

 過去に、日本の大手商社に間に入っていただき、現地企業と共同でタイで事業展開をしていたときがありました。ところが、その現地企業の役員が新会社を立ち上げ、そのまま理美容事業を継続するという日本では考えられないことが起き、裁判、和解交渉などすすめましたが、結局は先方がその事業を拡大することが出来なかったこともあり自然消滅的に終息した案件でした。その後処理もスムーズに進まずなんとも後味の悪い着地となりました。
 契約関係は惜しまず、現地の信用おける法律事務所に間に入っていただいた上で締結すべきですし、“アジアの常識は日本の非常識”と思っておいた方が賢明だと思います。

ー最後にアジア市場での今後の展開や、ビジョンを聞かせてください。

 2017年に進出したNYで、某立ち食いステーキ屋さんが鳴り物入りで我々より3カ月ほど前に進出していましたが、僅か1年でNY撤退をされました。撤退の詳細は分かりませんが、会社のためにも従業員のためにもファンになってくれたお客さまのためにも事業を継続していくことがその店舗、会社の存在意義であって、海外に進出することが目的ではありません。
 既に海外で135店舗を展開しており、大きな野望というものはありませんが、焦らず着実に、進出国を拡大していければと思います。QBの海外進出によって、現地の方々に安心して働ける環境と満足のいくサービスを提供していき、その国の方々の笑顔をもっと増やしていければ良いですね。

  • 「日本から来たカット専門店」として賑わう台湾の店舗

    「日本から来たカット専門店」として賑わう台湾の店舗

  • 日本人理美容師構築のプログラムで指導する現地社員

    日本人理美容師構築のプログラムで指導する現地社員

  • 日本にない子供専門の「QB HOUSE KIDS」

    日本にない子供専門の「QB HOUSE KIDS」

プロフィール

北野 泰男

経歴

1969年
大阪府生まれ
1995年
大阪外国語大学(現:大阪大学)卒業
1995年
株式会社日本債券信用銀行(現:あおぞら銀行) 入行
2005年
キュービーネットホールディングス株式会社入社
2009年
代表取締役社長就任

会社概要

経営理念 日本よりコロナ回復が進む国の出店をコロナ前の出店ペースへ戻し、新店を強化する。
目標 2022年6月期 海外出店計画 10店舗純増(香港5/台湾4/米国1)
事業内容 ・ヘアカット専門店「QB HOUSE」の国内直営店運営および国内フランチャイズ展開
・ヘアカット専門店「QB HOUSE」の海外直営店運営
・ヘアカット&スタイリング専門店「FaSS」の直営店運営
・ヘアカット&スタイリング専門店「QB PREMIUM」の直営店運営
進出国(進出予定国)
シンガポール
香港
台湾

米国 (NY)

所在地(日本) 東京都渋谷区渋谷二丁目12番24号
資本金 12億4,500万円
従業員数 2665人 ※2021年6月時点 (連結)
財務情報 2021年6月期実績 189億3,300万円 (連結)

2020年6月期実績 190億8,900万円 (連結)

2019年6月期実績 208億6,400万円 (連結)
営業利益 2021年6月期実績 4億6,300万円 (連結)

2020年6月期実績 2億3,900万円 (連結)

2019年6月期実績 19億6,900万円 (連結)
サイトURL http://www.qbnet.jp/
関連サイト QB HOUSE ブランドサイト FaSS ブランドサイト QB PREMIUM ブランドサイト
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